井中カエルand物語るカメ

劇場版 Fate/stay night Heaven's Feel II. lost butterflyの井中カエルand物語るカメのレビュー・感想・評価

4.5
綺麗は汚い 汚いは綺麗
さあ飛んで行こう 霧の中 汚れた空をかいくぐり

マクベスの有名な一節である。
まさしく、本作にふさわしい言葉はないか。

美味しいご飯を食べる、食卓を囲む、友人や家族と一緒に過ごす……美しいワンシーンだ。しかし、その食卓に並ぶ肉はつい数日前に生きていた牛や豚が絞められ、それを解体しものだ。
物事には必ず裏表がある。
美味しいご飯だけではない、生き物がかわいそうだけではない、両方があるから美しく、汚い。

本作で強く印象に残るはヒロインである桜が身にまとう白い衣装、そしてそこを濡らす血の赤である。とても真っ白な服が、グロテスクに染まっていく。
とても醜く、バイオレンスなシーンだがそれ故に美しい。

間違いなく作画面も天下一品、2019年を代表する作品となるだろう。
オタク文化におけるR18作品などが表現してきたことをふんだんに詰め込み、執念すら感じた。
オタク向けのファン映画だと思われるかもしれないが、今作を鑑賞しないのはもったいない。
オススメです。

https://blog.monogatarukame.net/entry/Fate/stay_night_%5BHeaven%27s_Feel%5D_Ⅱ_lost_butterfly_