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海にのせたガズの夢のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

海にのせたガズの夢(2017年製作の映画)
1.5
【熊野の魅力が活かしきれていない】
アップリンク吉祥寺オープンということで、映画館リポートのついでに1年ぶりにココマルシアターに潜入した。これについては、ブログで詳しく書くとして、実際に鑑賞した『海にのせたガズの夢』の感想を述べよう。

本作は熊野の田舎町で映画作りに励む高校生の青春を描いた作品だ。

本作は、無名の俳優で構成されており、演技に未熟さがある。この未熟さは最大の武器になる筈なのだが、全く活かしきれていなかった。

映画部のメンバーは思い思い試行錯誤しながら、映画を撮っている。熊野民という、コンプレックスを抱き、東京に羨望と嫉妬を抱きながら。そこに、有名な映画監督がやってくる。映画部のメンバーは懇願し、彼から低予算映画の「工夫」を教えてもらう。

まず、未熟な高校生との対比でこの映画監督が活かされていない。カリスマ性のオーラは0。高校生となんら変わらないラフさなのだ。そして、肝心な監督の技術力を魅せてくれない。自転車にカメラをつけてドリー撮影をしたり、カメラの前に火を灯す技を魅せるが、肝心な映像を魅せてくれないので、未熟な高校生の映画撮影におけるbefore/afterが見えてこないのだ。

また、本作はとある事件で映画部解散の危機に瀕し、それをつなぎ止めるために祭が配置されているのだが、ただ熊野の祭を紹介したいだけにしか見えない。『若おかみは小学生!』を例に取ると、旅館の女将修行がベースになっているにも関わらず、キーとして祭が使われている。これはうまくいっている。何故ならば、女将修行で積み重なった経験値の象徴として使われているからだ。

しかし、本作には、トラウマや問題を克己する成長の場面があまりに薄い。だからこそ、ラストの映像には疑問が湧いてくる。おい、仲間差し置いて、何しているんだと。

もう少し語りたいが、スマホの電池が切れそうなので、この辺にしておきます。

結局、熊野の良さすら引き出せていない作品でした。
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