Alskei

ブレッドウィナー/生きのびるためにのAlskeiのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

女性が外を歩いているだけで理不尽な扱いを受けている世界は見ていて苦しかったです。自分の生活と比較したとき、自分は誰かを差別してはいないだろうか、誰かに対して理不尽な扱いをしていないだろうか、と不安になりました。

この世界で主人公が差別から耐えるために役に立ったのは物語、もっと言えば教養だったのかなと思いました。学校で一緒だった友達、読み書きを教えたおじさん、そして物語は家族に安らぎを与え主人公に勇気を与えていました。光る物、捕まえる物を手に入れたお話の主人公は最後に象の王と対峙すると、短いフレーズでしたが物語の力によって象の怒りをなだめたように思います。つまり物語が最後の一つ、宥める物だったのかなと解釈しました。
しかし、少し理解ができていないのですが、最後に兄の真相をなぜ知ることができたのかがいまいちよく分かっていません。もし物語が宥める物だったとしたら、それは元々自分の中にあったものということになります。つまり兄の真相を元々知っていたということになってしまいます。それともお話の主人公の名前を兄の名前にしたことがトリガーだったということでしょうか。んーこんがらがってきました。

それと分からないことがもう一つあって、宥める物が教養だとすると、光る物は乳搾りをしている老婆を助けたときに貰ったので優しさかなと思ったのですが、捕まえる物がいまいち何の象徴なのか分かっていません。助けを求めて馬が吠えたことがきっかけだったので、「友達」とかでしょうか。
こう考えていくと「主人公は光る物、捕まえる物、宥める物のすべてを持っていて、それによって象の王から種を取り戻すことができた」という話は「主人公は優しさ、友達、教養のすべてを持っていて理不尽な世界から平和な暮らしを取り戻すことができた」と見ることができて、これはこの映画の結末と一致しているようにも思えます。なんかちょっとすっきりしました。書きながら考えてみて分かることもありますね。このあたりがこの映画のテーマなのかもしれません。自分の生活にも当てはめて考えてみたいテーマです。

ただ、なぜ兄の真相が分かったかについては未だによく分からないです。あとお父さんを助けてくれたあのおじさん、よく銃弾1発で許してもらえましたね。殺されてもうダメかと思いました。
Alskei

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