つるみん

恋は雨上がりのようにのつるみんのレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
3.9
もしかしたら今年の上半期でNo.1オープニングかもしれない。ポルカスティングレイの疾走感溢れる曲に乗せて小松菜奈が走る走る走る!!!いや〜素晴らしい。このOPで一気に引き込まれた。本作のテイストを我々に伝える作業はこれでもう十分過ぎるってほど。

お互い諦め掛けていた夢に向かって少しずつ歩んでいく物語。しかもそれが女子高生と45歳のファミレス店長っていうんだから中々不思議。でもそれが良くて歳の差が離れすぎているからこそ、大量生産型キラキラムービーにならない。しかも女子高生からの視点、45歳からの視点。と恋愛だけでなく、〝夢〟への価値観も異なる描写を描いてあるため非常に面白い。これはこの作品じゃないとできない事ですよね。この2人がストーリー的に不思議な化学変化を齎したのは言うまでもなく、真っ直ぐすぎる女子高生は好きな人と興味ない人との対応が雲泥の差でしたね(笑)そして不器用ながらも好きと言う気持ちを伝えるが、それに全く気付かない鈍感な店長も可愛らしい。

女子高生がおじさん店長の事を好きになるのが分からないという人は多いと思うが、台詞通り「好きになるのに理由なんて要らない」と言うのを大胆ではあるが体現しているし、店長の「この年齢差には理由が必要なんだ」というのも当たり前であるがリアル。恋愛映画としてちゃんと観る事ができる。

ただ原作はどうだか分からないが本作ではあくまで〝夢〟がメイン。「人生の雨宿り」とは〝夢〟の事であって、初めて挫折した人に、過去に挫折をした人が声をかける言葉は重みが違った。ただ過去に挫折した人も昔の自分を見ているようで、そこで初めて気づくんですよね。今まで長い雨宿りをしていたんだと。このまま自分のように長いトンネルに入ってしまう前に彼女にかけた店長の言葉が素晴らしい。「もうしないと決意したのなら良い。でもそれが諦めなら、ずっと停滞してしまうんじゃないかな。」

2人が出会ったのは運命だし、その周りの友達やライバルと出会ったのも運命。

もちろん結末は『恋は雨がりのように』。
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