Melko

後ろむきの青のMelkoのレビュー・感想・評価

後ろむきの青(2014年製作の映画)
3.7
現実から目を背けんな。
「ちょっと、戻るわ。学校」

今まさにどちゃくそイジメられてる中、なかなか言えないよ、こんな言葉。

イジメの仕方や追い詰め方がちょっと古くて、やり過ぎ感というか、もはやファンタジーに近いところもある。世の中大多数の人間が日和見。正面切ってイジメを仕掛けてくる奴らの方が少ないよ。特に今の、「コンプラ警察」みたいな、些細な暴力や暴言も許さないガチガチの日和見社会ではね。
でも、ネットが盛んになりだし、「ライフ」というドロドロのイジメドラマが流行ったわたしの学生時代でも、保健室族とか、不登校→ドロップアウトとか、クラスの雰囲気に馴染めなかったり、「なんかうっとうしいから」って理由で無視されたり影口言われたりして、泣く泣く学校やクラスを去ってった子たちも既にいたりして、マユの境遇は人ごとではなかった。
屋上の明るいホームレスのおっちゃんと仲良くしたくなる気持ちもわかる。悪口言われない、自分を丸ごと肯定してくれる人のところにいたいもの。誰だって。
自分がイジメられたくないから、マユを裏切ったミカのこともわかる。誰だって、自分が可愛いから。
クラスにも一切逃げ場や頼れるところもない。クラスが社会。今が大事な学生。未来がない。死にたい。でも………
わたしも、イジメられたり攻撃された訳じゃないけど、友達が1人もできなくて、お昼ご飯1人で食べたり、2人1組も誰も組んでくれなくてクラスで浮いてた時、「うちらと一緒にいなよ。」って言ってくれた2人がいたな。3人グループになって。楽しかったな。1人とは疎遠になったけど、もう1人とは今でも親友。彼女の結婚式のスピーチで、このエピソードを話して泣かせてわたしも泣いたものだ。

おっちゃんとの繋がりを予想させる大阪弁の同級生の再度の登場はもちろん胸のすく思いだけど、それよりも熱いのは、ラストのミカ。マユが逃げたあと、身代わりになって、髪むしられてお腹蹴られたんだろうな……でも、よく頑張った!!どんなにイジメられても、変わらずにミカのことを気にかけ続けたマユに、キッチリ応えた場面。ここで築いた友情には、誰も立ち入ってほしくない。

おっちゃんの大阪弁はちょっと無理矢理感あるし、マサコの大阪弁もわざとらしいけど、まぁ、こんなもんか。わかりやすくていいか。でも、ちょっと!守ってくれるのはいいけど、マサコ!
「この551の豚まんブサイクが!」は、551の豚まんに失礼や!笑
「なんや、イキってる割に(金◯マ)小さいのぉ〜」
せやで、そんなもんや。男のクズが。

ホントに、殺してやりたくなるぐらいムカつくイジメ役達の演技と、陰鬱になりつつも最後は爽やかな3人の少女たちが良かった。カラッと元気なおっちゃんもなかなか。

わたしは30分我慢すれば見終わる世界だけど、マユにとって、ミカにとって、まだまだ続く地獄。
それでも、そこから逃げないで、立ち向かう決意をしたマユ。マサコという砦。
すごいよ、十分立派だよ、みんな。逃げても良い。でも、決めたなら、立ち向かおう。

学校の授業で流して欲しいね。
Melko

Melko