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べー。のarchのレビュー・感想・評価

べー。(2016年製作の映画)
3.5
阪元祐吾が学生時代に撮った作品。
拙いストーリーテリングのせいか途中から話が追えなくなるなどの難点があるが、この頃からアクションの迫力は凄い。特にトイレでの刺し合いは、血の量の演出からカットの連続性は見事で、あそこだけ明らかに学生の領域を逸脱したクオリティーになっていた。

暴力性を隠さない、客観性を欠く倫理観、法治国家とは思えない死者数。それらは後の作品のほとんど(「パン。」以外)に受け継がれる作家性であり、学生時代の一作目である本作でも例外ではない。というか本作と「スロータージャップ」「ハングズマン・ノット」までは繰り返しブラッシュアップを行いながら語っているという点で、役者が共通しているのも相まってセルフオマージュの三作品といえる。
そんな三作のうち、恋愛要素を盛り込み、人らしい感情が覗ける本作は、実は一番優しい作品といえるかもしれない。
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