日本人女性に多い、末尾に「子」のつく名前。
その名前をカタカナにして、最後に「フ」を足してみましょう。
美智子 → ミチコフ
佳子 → ヨシコフ
まる子 → マルコフ
激しくロシア人ぽくなります。不思議。
その塩梅で、末尾に「褒め言葉」と注釈を付ける事で蔑称表現に途端に愛嬌が生じる言葉の珍味。「これはひどい」などは半ばネットスラングで用いられる程に多用されておりますが、この監督ほど、そんな捻くれた褒め方が似合う人も多くはおりますまい。
夏は暑い。暑さは脳をとろかす。蕩けかけた脳が「阿呆な映画を所望する」とシグナルを発してくる。よし、観に行こう。阿呆な(※褒め言葉)映画を。
これはひどい。(※褒め言葉)
あまりにもくだらない。(※褒め言葉)
去年の興行的な成功で、完全に調子に乗った(※褒め言葉)福田組の暴れぶりが半端ない。こんなんできひんやん普通。万引き家族にジブリにエヴァに踊る大捜査線。押しも押されぬ名作の数々を、弄り、パクり、笑いに変える、極彩色の悪ふざけ(※褒め言葉)。恐れ知らずの傍若無人(※褒め言葉)に何をか言わんや。
彼らの笑いに忖度は皆無。佐藤二郎さんもムロツヨシさんも、遺憾無く暴れ回る姿は、給食中に牛乳飲んでる奴を如何に噴かせるかの立ち回り。なんと低俗(※褒め言葉)、君たちやっぱりプロミスだ。
猛烈にふざけた後は猛烈に熱くなろう。
まともに言われたら背筋の痒くなる台詞の数々も、十分すぎるアイドリングを経た後だからダサくも格好良く見えてしまう。今作では戦闘も見応えがあり、それはもうグルグルとアクロバティックに画面がまわる。世田谷育ちもここまでグルグルしない。
CGの多少の荒さは風合いと受け取ってしまおう。それより、不器用な侍たちの生き様に思わず目頭も熱くなるというもの。誰だと思ってんだ銀さんだぞ?そだねー、てなもんである。
暑さに蕩けた脳に笑いが供給され、シナプスが喜びの声を響かせる。しょうもない(※褒め言葉)笑いを見知らぬ観客たちと共有し、一体となるのは悪い心地じゃない。
いい大人たちの容赦ない悪ふざけに負けじと、聞き覚えのあるパクリにまみれたレビューを試みるも、どう考えてもつい先日書いたカメラを止めるなと趣向がだだ被りである。
そこは不遜にセルフパクリと言い切ってしまおうじゃないか。被りではない。断じて否なのだ。
いやはや全く、
どうかしてるぜ。(※褒め言葉)