史実を映画的に昇華し、実に見事である。
ラストは否応なしに感情を揺さぶられる。
ファン・ジョンミンとイ・ソンミンの素晴らしい共演が実現したともいえ、外側は政治性が強いが、重厚な人間ドラマでもある。
イ・ソンミンの名演によってこそ、ここまでセンシティブで危うい題材が成立したとも言える。
ただそもそも同じ民族でありながら、イデオロギーを異にする両国の歪な関係性そのものがスリリングな展開を助けているとも考えられるわけで、それがかえって生身の人間のより深い情念を抉り出しているのかもしれない。
あまりにも重大な政治的責任を背負った男たち。
