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工作 黒金星と呼ばれた男のとものレビュー・感想・評価

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)
4.2
「浩然の気」

孟子は性善説を説き、仁・義・礼・智の四徳を誰もが積めるとした。

人は誰しも「四端」の心を持っている。
・惻隠 : 他者をいたたまれなく思う心
・羞悪 : 不正や悪を憎む心
・辞譲 : 譲ってへりくだる心
・是非 : 正しいことと誤っていることを判断する能力
この4つの道徳感情を伸ばすことで四徳に達するというのだ。(参考Wikipedia)

僕の大好きな名探偵コナンの中にこんなシーンがある。殺人犯の命を新一が必死に助けるのである。その後の「なぜ俺を助けた?」という問いに新一はこう答えた。
「理由(わけ)なんているのかよ? 人が人を殺す動機なんて知ったこっちゃねえが… 人が人を助ける理由に…論理的な思考は存在しねえだろ?」
はいこれ、仁の徳に至っております。
ここの新一が1番カッコええわ!

この四徳を積む中で培われるのが「浩然の気」である。
天地間に充満している非常に大きく強い気のことで、 自分の行動が正しいと、この気が身中に満ち、不屈の道徳的勇気となる。

この映画はまさに浩然の気を描いた映画だ。去年の「タクシー運転手」、「1987 ある闘いの真実」に続く韓国社会派エンタメである。

この映画でも韓国政府のえげつないいやらしさが見える。内容は書かないが終盤の国家安全企画部室長との対決で出てくるセリフにはゾクゾクさせられた。

ド派手なシーンは無いが、大きな闇(韓国政府や金正日)に挑む立場的弱者という熱くなる構成と骨太なストーリーでエンタメとしても十分に楽しめる作品だった!

「お金もかかるのにどうして映画館で観るの?」とよく聞かれる。今後はこう答えようと思う。

「理由(わけ)なんているのかよ?ネットに違法アップロードされた映画を観る理由なんて知ったこっちゃねえが…映画館で映画を観る理由に…論理的な思考は存在しねえだろ?」
・・・いやこの顔で言うたらあかんな
とも

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