ニニ

工作 黒金星と呼ばれた男のニニのレビュー・感想・評価

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)
3.5
韓国に親しんできたわりに、南北関係を主軸とした作品はあまり観たことがない。
シュリ('99)も、JSA('00)も、二重スパイ('03)にもご縁がなかった。

現在進行形で解決していない南北問題に人間ドラマを絡めてエンタメに落とし込むバイタリティ凄い。
世界中で韓国にしか作れない映画だろうけれど決して自分達にばかり都合の良いプロパガンダにならず、本作にはなんなら自国が過去に犯した身勝手な振る舞いに対する自省的な面もあってフェアな視線を感じた。
(韓国国内での対北朝鮮政策とかを絡めるといろいろ見方もあるのだろうけど。)
1人の工作員が文字通り人生を掛けて挑んだミッションが選挙のために覆えされて終いには逮捕・服役になるの??
スパイってそういうものなのかもしれないけれど、あまりに理不尽で。

ファン・ジョンミンは『黒い家』が怖過ぎたのと『ハピネス』でのクズ過ぎる役柄が印象的過ぎて顔を見ると自動的に苦しくなってしまう俳優さんなのだけど、この映画はそれ以上にとにかくイ・ソンミンの輝きが極上だった。
ラストはスポーツを通した南北の友情にスポットライトを当てた『ハナ 奇跡の46日間』の最後と重なる胸熱演出でした。
そして本格的な俳優さんとしてのチュ・ジフンを観るのが幸せ。
共産圏の将校っぽさがすごくあった。
エンドロールを見る限り台湾の都市がたくさん協力したっぽかったのだけど、北京や平壌のシーンが台湾での撮影パートなのかなー?

最後、本物のイヒョリが出て来て10年以上前のイヒョリを今のイヒョリが演じててすごかった。相変わらずキレイ。
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