前回既に感想書いていたので、先に今回見た感想を。
この映画は珍しく父性を描いていると思う。もちろん父が子を思う映画は腐るほどあるし、その愛情はたくさん色んな魅力的な形で表現されてきた。言葉にするのが難しいけど、無償の愛のもう少し人間の本性に近い…まだ子供だし、それにほっとけないだろ…っていう大げさでない感じ。この映画で主人公が暮らしやお金に悩み苦しんでも「あんなガキ家におくからだ！」って天秤にかける感じにならないのは、主人公の性善的な優しさももちろん大きいが、それだけじゃなく「しょうがなくね？」というそもそも発想もしない感覚があって、実によく描けているように思う。母性とはまた違う…感情移入じゃなく環境移入とでもいうのか…お母さん側の感覚も凄く丁寧に描かれているが、主人公と少し違うのがまた良い。
ボンジョビやはり良かった。主人公のなんとなく寂しい表情と印象が素晴らしい。
セリフが実に丁寧だ。
前回↓
悩みやしがらみを上手く描いていると思う。
家族のいる男性や実力あるアスリートなど立場の違う人間の逆境から立ち上がる気持ちを、それぞれ近い形で描いているのでそのスタンスやメッセージが厚みを帯びて真っ直ぐに伝わる。
ただ主人公の友達がややコメディータッチ過ぎること、そして主人公との関係性もこの映画にマッチしていないので、彼のシーンでストーリーが毎回剥がれ緊張も切れている。彼も普通の少々悩める男でいいと思う。この映画が一皮向けないのは確実にそこだと思う。「そういうレベルの映画ね」って印象がこの要らないコメディーパートで出てしまっている。
JBJのくだりとても良かった。奥さんが凄く良い描かれ方をしているが、そういう細やかな部分が正しく評価されなかったのが残念。カイルとチビちゃん達の柔らかい関係性など演出の目線が柔らかく温かい。
オチはもう少しインパクトや捻り、盛り上がり等が必要だと思う。派手さがどうとかではなくあまりに前振りが弱いので（弁護士の華々しい仕事へのこだわりや世間体など）、これでいいだけの話だったの？となった。
