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ミッシングのtheocatsのレビュー・感想・評価

ミッシング(1982年製作の映画)
4.0
映画自体は持久戦も真実追求の真摯さに敬意

軍事政権下のチリ軍に拉致されたアメリカ人ジャーナリスト。
その行方を探るために妻と彼の父親がチリ各方面を奔走する物語。

ドキュメントタッチとドラマ調を上手く融合。

妻と父親の感情的衝突場面など俳優陣の見せ場は勿論あり、真実追求の過程は迫真性に満ちこちらの好奇心熱も尽きることはなかった・・・と言いたいところだが話の筋と人物を把握するための緊張の糸が続かず、ついつい頭がクラっとすることしばし。何度か立ってストレッチをしながらどうにか視聴。視聴後はなかなかの疲労感。

パッケージのコピーには「・・・感動を呼ぶ。」などとありますが、個人的には感情メーターの振れはほぼ皆無。
ただ軍事政権下チリの実情に対する興味(女子のズボンは禁止、下部分をハサミで切り落とされる!など)、そして話の筋を何としても漏らさず把握していきたいという好奇心熱のみが視聴を支えてくれた。
何度かは意識を失いそうになりながらも(笑)、その知的好奇心は報われたという感動ではない充実感はあり。

妻役シシー・スペイセクと父役ジャック・レモンの衝突しながらも共闘しての真実追求過程、そして和解劇も見ごたえ十分。
その対となる米軍関係者、外交官たちののらりくらりはぐらかす演技もある意味見事。
当時のチリ軍が跋扈している市街地や死体が転がる安置所などの再現も抜かりない印象。
娯楽性は期待できないが噛み応えあり過ぎのヘビーで密な映画を味わいたくなったら本作をどうぞ。

結末が分かってしまうと大方の興味が奪われると思うので書きません。

002006
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