Violet

ある少年の告白のVioletのネタバレレビュー・内容・結末

ある少年の告白(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

Boy Erased
自分を否定し、偽り、殺すことを強いられた少年たちの実話に基づく物語。

Fake it till you make it.
脚色はあれど、同性愛を「悪」とみなし、それを矯正し「救済」する施設が米国南部に現在も存在していることに驚愕した。

本作のモデルとなった矯正施設の教官が現在はテキサスで夫と暮らしているというエンディングでの情報にも驚いた。同性愛を否定し続けた男は、本当は誰よりも自分を認めてあげたかった男だったのだなと思うと、やったことは許せないけれど、少し人間味を感じることができた。

ジャレッドを演じたルーカス・ヘッジズはもちろんだが、母親のナンシーを演じたニコール・キッドマンが素晴らしかった。
ゲイリー演じるトロイ・シヴァンも存在感バッチリで目が離せなかった。キャストは文句なしなのでは。

ジャレッドが車の窓から手を出すと、ナンシーから「それで腕を失くした子がいるのよ!」と叱られるというシーンが作品の中で何回か見られる。
ジャレッドが施設を抜け、施設に関する記事が新聞に載った後は、ナンシーから「車窓から腕を出して腕を失った子供がいる」という記事とメッセージ”See!!! Always listen to your mom!!(ほらね!ママの言うことはいつも正しいのよ!)"が送られてくるが、最後にはジャレッドがまた車窓から腕を出すシーンがある。
ずっと両親の言うことを聞き、自分を殺して生きてきたジャレッド。
しかし自分で判断する力を得て、彼は成長した。
外の世界は危険かもしれない。
それでも。
車窓からのびやかに伸びるジャレッドの腕は、わたしにはまるで鳥が羽ばたくかのように自由に見えたのだ。

▼My Favorite Quote
•I think we're our own God. I mean, I think he's in us. In all of us, not, you know, somewhere hiding and watching.ーXavier
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