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ホテル・エルロワイヤルのMyYouMeのレビュー・感想・評価

ホテル・エルロワイヤル(2018年製作の映画)
3.7
カリフォルニア州とネバダ州の境目に建てられた『ホテル・エルロワイヤル』。偶然同じ日・同じ場所に訪れた、なにやら怪しげで訳ありな宿泊客たちそれぞれの事情が絡み合い、やがてこのホテルに隠された秘密が明かされる。

ベトナム戦争、人種差別、大物政治家のスキャンダル、諜報活動、カルトコミューン…1960年代のアメリカを象徴する社会背景、特に暗部にフォーカスしながら展開するサスペンス作品。
なんとなくコメディっぽいミステリーを想像していたら思いのほか闇が深かった。

登場するキャストが豪華、というか個人的に好み。
特にソウルミュージックシンガーのダリーンを演じたシンシア・エリヴォ至高の歌声が素晴らしすぎて、彼女の歌唱シーンがあるというだけで元が取れると言っても過言ではない。
ルイス・プルマンとジョン・ハムはTGM以前にここで既に共演してたのね。ルイスのルックスや気弱そうな振る舞いが、どことなくトムホを彷彿とさせるなぁと思いながら見てたのだけど、終盤の不意をつく“ある動き”がかっこよくてびっくりして、思わず声が出ちゃった。
どう考えてもチャールズ・マンソンがモデルでしょと誰もが察しがつく、最低最悪のクズ男ビリー・リーに扮したクリヘムは、鍛えられた肉体美をやたらとチラ見せ。でもそのナルシストっぷりもあのキャラクターの一環なんだよね。
そんなビリーにダリーンがバッサリと言い放ったセリフが痛快。

アメリカの罪と偽り、暗い影に翻弄されてきた人々の末路は絶望か希望か。

時系列を前後させながらのオムニバス形式で、ラストへ向けて集結していく構成はわかりやすかった。
ひとつひとつのギミックは確かに少し弱いかもしれないけど、トータルでは充分面白かったと思うな。
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