みちを

千と千尋の神隠しのみちをのレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
4.6
様々な意味や思いが込められた名前を主題に掲げ人間社会に対する痛烈な皮肉、若き男女の間に交わされる愛と少女の成長を描いた良い物語だった。日本に伝わる八百万の神を愛らしく、且つ恐ろしく描いており、宮崎駿の世界観に驚かされた。大きな体に不釣り合いな蛙の足が巨大化したカオナシの不気味さを強調していて演出の妙だと思った。最後千尋が振り向くまいと踏みとどまった時、髪飾りが煌めいた表現は油屋が実在する世界であることを表すのにあまりに美しかった。
強い意志を持たなくなった人間は、軽んじられ、死を待つのみという点で、家畜に変えられるのと同じことなのかもしれない。物語の端々にまで人間社会への皮肉の効いた見応えのある作品だった。

基本的な舞台設定に漫画『ONE PIECE』に登場する海上レストラン「バラティエ」に近しいものを感じた。海列車と共通点を見出せる鉄道の描写もあるから尾田先生はなにか着想を得たのかもしれないね。
リンの「噂では湯婆婆にやばいことやらされてんだって」という台詞を聞き、ほー、この頃から「やばい」って言葉は映画で使われるほど知名度の高い言葉だったんだなぁ、と思った。ただ肯定的な意味合いはなく元の「厄場い」の用法だろうな。
みちを

みちを