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スパイダーマン:スパイダーバースのRenのレビュー・感想・評価

4.5
久々に再見。今更説明不要の紛う事無き大傑作。金字塔として、世界初長編フルカラーアニメーション映画『白雪姫』とか世界初長編フルCGアニメーション映画『トイ・ストーリー』とかと並んでいいと思っている。

リアルな質感の3Dと手描き風2Dとコミック風演出を同居させた新時代のアニメーション快楽の濁流に飲み込まれる。問答無用でかっこいい。よく見知ったキャラクターもまた新しく見える。

歴史的にあらゆる映像化が為されてきた巨大コンテンツ「スパイダーマン」で、今新作をやることにちゃんと意味を持たせたことがあまりに偉い。色々な人が演じてきた一人のヒーローの多様性をこれまた人気コンテンツの「マルチバース」で肯定してみせた。もうやれトビーがいいだのアンドリューのは微妙だっただのの論争は無に帰そう。どんなスパイディがいたっていいし、誰がスパイディになったっていいのだから。

初見時は上述したような点で好きだったけど、今回改めて観て、ヒーローのオリジン物語としても非常によくできていると思った。
ただの一市民がいきなりスパイダースウィングなどできる訳がない。ビルから飛び降りる前の躊躇い、味方が目の前で苦戦したり倒れたときの無力さ、戦線に出る上での葛藤やぎこちなさなど、ヒーロー第1章としての描写が光る。

世間に正体を隠す宿命にあるスパイディだが、スパイディ同士なら共闘できる。ヒーロー前夜の市民が孤独を背負いながらも同じ悩み・傷を負う者たち同士の協力で成長する様が、今までのスパイダーマンではあり得なかったカタルシスだ。ベタだけどベタじゃない。

アニメ吹替派としては、日本版の座組も抜かり無く素晴らしくて嬉しくなる。吹替に小野賢章、宮野真守、悠木碧、吉野裕行、大塚明夫、中村悠一、玄田哲章など。日本版主題歌はTK from 凛として時雨。盤石超えてご褒美超えてアベンジャーズ。
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