クルセ

スパイダーマン:スパイダーバースのクルセのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

日本での公開前にアカデミー賞を穫ったり、続編の話題が海外から聞こえてくるなどやたらめったらいい評価を多少見た上で本格的に視聴。4DX吹き替え版でした。

アメコミファン(マーベル映画ファンではなく)以外の知名度は極めて薄い黒人の新スパイダーマン(スパイダーマン二号とでもいうべき?)マイルズ・モラレス君の紹介編としてはほぼ完璧と言っていい出来映えだったと思います。
ストーリーはいい意味で王道、平凡な少年であったマイルズ君がスパイダーマンとして立ち上がることを軸に家族や親子、『スパイダーマン』同士などの絆をストレートに描いたシナリオですが、ここにコミックを多分に意識したカットが加わることで真の意味での「マンガ映画」という味わいになっています。
細かな心象描写やオノマトペの利用などは言わずもがな、スパイダーマンの能力を得てからのマイルズ君を始め、多元世界から集まった各『スパイダーマン』達の画風に合わせた活躍シーン、果てはメインヴィランであるキングピンの描写にもその技術が活かされていて映像的にも楽しいです。
マニアとしてはビル・シンケビッチのアートが動く場面を見るとは……。

マニアックな目線で見ると「知ってる画」「知ってるコマ」とでもいうべき場面があったり、多元世界から来たピーター「B」パーカーの元の世界はもしかしてライミ版映画に近い世界なのでは?と思わせてきたりと見所が尽きません。
また、知識があるとヴィランの一人、プロウラーの扱い方は読めていましたが、それでも前半の場面があると少しショックを受けます。コミックでは死んでないはずなので……。
吹き替え版声優さん達については有名な方がそろっているのもあり、演技の心配はなし。
世代的に第一報では違和感のあった(スパイダーマン/ピーター・パーカーの声と言えば川田紳司さんか、世代的に森川智之さんなので)宮野真守さんの声も、Bピーターのキャラがわかるにつれ馴染んで行きました。
そして全く予告されていないキャラであったマイルズの世界のピーター(またそのキャラクターデザインにもニヤリ)やドク・オック(かなり予想外)、さらには「スパイダーマン2099」ミゲルの登場(こいつは知識のある人ならすぐに伏線がわかりますが)など、豪華な「スパイダーマン・フルコース」といった塩梅の映画です。
ヒーローモノや少年の成長譚、スパイダーマン、アメコミ好きなら是非とも見てほしい。

最後に一つ。
コスチュームショップの場面、泣かせますよね。
Excelsior!
クルセ

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