歌舞伎町のど真ん中の窮屈な通りを車で抜けると、お目当ての駐車場は封鎖されていた。どうやら新しいビルが立つらしい。
諦めて右手の地下駐に車を止めると、仕事用の重いトートバッグからキーと財布だけを抜き取り、バッグは助手席の下に隠してドアを締める。車上荒らしへの対策になるとは思わないが、おまじないのようにいつもやっているのでこうしないと気持ちが悪い。
深夜帯はロビーが閉鎖されるビルらしく、地上への行き来はエレベーターではなく階段を使わなければいけなかった。今後新しく使い勝手の良い駐車場を見つけるまでは映画を見に来るたびにこの通路を往復しなければならないかと思うとうんざりする。
長い階段を抜けるとラブホ街に面した路地に出た。あまり通らない道なので方向がつかめず、一度西武線新宿駅の方に出てしまい踵を返す羽目となった。
０時を過ぎて終電も終わる頃だというのに、新宿歌舞伎町は人でごった返しており、噴水跡地の広場にはクラブに並ぶ若者がここまで列をなして、店員の誘導で右に行ったり左に行ったりしている。
アパホテルの脇を通り抜け、酔い潰れた仲間を介抱する若者を横目にしばらく直進すると、建物の間からより一層大きなビルが見えてくる。繁華街の中心地に位置する新宿最大の映画館、TOHOシネマズ新宿だ。
ＷＥＢ購入してあったチケットを端末で発券すると、手早くトイレを済ませて売店でポップコーンとコーラを買う。コーラはカフェインが入っているので鑑賞中トイレに行きたくなってしまう危険性があるのだが、この前他の炭酸飲料にしてもあまり変わらなかったので元の組み合わせに戻した。映画の鑑賞にはポップコーンとコーラがないと始まらないのだ。
レイトショーは人が少なくてゆっくり見られる半面、酔っぱらいやクソセレブが多いので席はなるべくプレミアムシートを選択することにしている。１０００円で快適さを買えるのなら安いものだ。
番宣が流れてまんじゅうが喚起して映画泥棒が捕まるといよいよ本編が始まる。
スパイダーバースはもちろん面白かった。
映画の冒頭に「クレジットのあとにも映像がありますので最後までご鑑賞を」と出すのだけはやめてくれろと思ったが。
