じゅんP

鋼鉄の雨のじゅんPのレビュー・感想・評価

鋼鉄の雨(2017年製作の映画)
4.2
『工作 黒金星と呼ばれた男』との共通点が多い中で、全体的に工作〜の方がよく出来た話だし面白いとは思ったけど、今作はとにかくおいしいとこ全部G-DRAGONに持ってかれる。

今の南北+アメリカ・中国・日本の関係や社会情勢を踏まえて、実際にあってもおかしくなかった世界線に見えるリアルな話を展開させつつ、娯楽と社会性どちらも高いクオリティでゴリゴリ押し進めてくれるの、すごく気の利いた接待受けてる気分。

国や組織単位での駆け引きを追う引いた目線と、個々人にスポットライトを当てる寄った目線の描き分けのバランスを、この分厚さと時事性の高さでやり切る総合力。
良いやつとか悪いやつといった単純なキャラクター付けではなく、このポジションの人物だったら実際こういうポリシーでこう動きそうってのを積み重ねた人物描写が生み出す緊張感。

ベースにはそうした重厚さを持たせつつ、要所要所で映画を盛り上げるためのハッタリや緩急が効いていて、コメディとアクションが的確に映画を彩っている。

観ながら複雑な相関関係を埋めていくスパイ映画的な楽しさもありつつ、感情に訴えるところはしっかりベタを押さえ、観ている間、心を掴んで離さない。

手錠×バディの演出力!
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