みんと

欲望のみんとのネタバレレビュー・内容・結末

欲望(1966年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ミケランジェロ・アントニオーニ監督作品。作中の音楽担当はモダン・ジャズピアニストのハービー・ハンコック、舞台はスウィギング・ロンドンが一世風靡した60年代イギリス。

60年代のファッションなどの文化や風俗、ジャズ音楽やシュルレアリスムが好きなので、個人的には好みにドンピシャで超最高のアート映画だった。

ワンカットワンカットがいちいちアート作品すぎる。ファッション、色使い、人とモノの構図、アングル、全てがアーティスティックで本当にずっと飽きなかった。




アントニオーニ監督と言えば、「情事」、「太陽はひとりぼっち」、「夜」からなる「愛の不毛三部作」。しかし、この三部作の真のテーマは“存在の危うさ”である。

本作も、“真実と思っているものは、本当に真実なのか。”、“存在していると思っている人やモノは、本当に存在しているのか。”など、漠然とした人間の不安や孤独がテーマだろう。

やはり彼の作品は、たとえラブストーリーでも、サスペンスでも、アート作品でも、テーマは共通してここにあるんだなと思った。


人間は、“なんでこの広い宇宙に自分は生を授かったのか”、“何のために生かされているのか”、“自分は何者なのか”、“宇宙はどうなっているのか”、“死後の世界はどうなっているのか”などなど、この世の真理を追い求めて生きるが、結局答え合わせ出来ずに死んでいく。自分を最大限納得させられる答えで、何とか自分を納得させて生きるしかない。
未知という暗闇の中でグルグル迷子になる感覚や、仕方なく思考放棄して楽する感覚を、こんなにも的確に体現してくれる監督は他にいないなと毎回思う。
みんと

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