Panierz

欲望のPanierzのレビュー・感想・評価

欲望(1966年製作の映画)
4.0
ファインダー越しに見る"真実らしさ"に取り憑かれた男の話、という印象を受けた。そしてそれはこの男の話というスケールだけで語られるのではなく、真実よりも上にある真実らしさが重要視される現実への皮肉を映したようにも感じる。

最後のエア・テニスを見つめ続け、ラリーの音が聞こえてくるようになる場面、あれは真実らしさが真実となることを示唆してるようにも受け取れるが、同時に真実の表象不可能性と対峙し真実を悟る場面とも考えられる。
そう考えると、そのあと男が雲散霧消の如く姿を消すのは、画面という真実らしい虚構の世界から抜け出したと見ることが出来るようになる気がしてくる。
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