みどり

志乃ちゃんは自分の名前が言えないのみどりのレビュー・感想・評価

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2020/7/27

押見先生自身の体験をもとに描いたという本作。

喋ろうとするたびに言葉に詰まってしまう志乃は、自分の名前も言えずに笑い者になってしまう。ひとりぼっちでいる彼女はひょんなことから同級生の加代と友達になるのだが…。

音楽が好きだが音痴な加代と
うまくしゃべれず言葉に詰まってしまうが素敵な歌声をもっている志乃。
2人は出会って徐々に打ち解け、バンドを結成することに。文化祭にむけて練習するもそこに志乃をからかっていた菊地が参加することに。

せっかく仲良くなれた唯一無二の存在、加代ちゃん、それを、自分の居場所をとられたみたいで、きっといいようもない気持ちだったろうな。女の子特有の、とられたくない、みたいな感情は多かれ少なかれあったと思う。
だいすきなのに、だいすきだからこそ。
3人で仲良くやればいいのにそうできない理由があったのだろうなあ…

あの時はごめん、もきっと傷が癒えて、自分がもっと冷静になれないとどんなに小さいことでも許せないと思うし。

それでも
みんな違ってみんないい。と私は思う。だれも悪じゃない。ただ、仲良くなれない時だったのだと思う。


志乃ちゃんを演じていた南沙良さん、他の作品を見ても思いましたが、鼻水垂らしながら泣くのも怒りでどうしようもなくなるのも感情表現がお上手。
加代ちゃん役の蒔田さんの佇まいも素晴らしい。
菊地役の萩原利久くんの絶妙なウザさも見もの。

あの頃に感じたこと、全てが愛おしくは思えなくても、今も心に残っていることはあるので、傷だらけでまぶしい青春映画、その通りという感じでした。
志乃ちゃんの透き通っていてどこまでも伸びていきそうな歌声、忘れないと思う。
みどり

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