きっと一般的に正しいとされる倫理観や常識、道徳観を持ち合わせる人が見ると、響という主人公の言動に苛立ちや不満を覚えると思う。自分も中盤ぐらいまでそうだった。
でも彼女は周りに何を言われようと自分を変えたりしない。揺るぎない自己と信念にどんどん魅了された。
きっと彼女の瞳に映る世界は我々には想像つかないものなのだろう。そもそも彼女は目の前の世界を見ているのだろうか。そんな事を思わず考えてしまう。
彼女の行動を疎ましく思うそれすら、我々が凡人たる所以なのではないかと。
彼女に希望を見出し、惑わされ、翻弄され、畏怖し、魅了される周囲の人間たちに感情移入しながら、響のエキセントリックな言動に良い意味でも悪い意味でも心揺さぶられるのがこの映画の楽しみ方ではないかなと感じた。
あばたもえくぼというものか、自分は映画を見終わる頃にはすっかり響のファンとなり、もう一度見る頃には彼女の言動に痺れてしまうようになった。
