このレビューはネタバレを含みます
つまんな!
と、一言でおさめられない問題作…。
つまらなかったけれど、ところどころひっかかるシークエンスがチラホラ。
作品全体としてのメッセージは読み取れないものの、この作品は決して家族の成長を描いたものではないように感じた。
例えば、くんちゃんが自転車に乗れるようになるまでのシークエンス。
くんちゃんは曾祖父のことを、いくら四歳児といえど彼が父親でないことを理解しているにも関わらず、咄嗟に「おとうさん」と呼ぶ。そして「かっこいい」と敬愛の念をもらすのだ。曾祖父との交流によって自転車に乗れるようになるくんちゃんだが、そんなことは少しも知らない両親は口々に「くんちゃんの成長」「お父さんの応援のおかげ」と誇らしげ。両親のまとはずれさが際立つシークエンスである。
未来の東京駅で、あの恐ろしい新幹線に乗るまでのシークエンス。
迷子になったくんちゃんは落とし物相談へ行き、自身が迷子になったことを告げる。駅員に両親の名前を尋ねられるが、どうしても名前が思い出せず、くんちゃん自身が落とし物になってしまうのだ。何者でもなくなってしまったくんちゃんは、未来ちゃんが新幹線に引きずりこまれそうになってようやく未来ちゃんに愛情を見出し、そうしてそれまで何者でもなかったくんちゃんが、未来ちゃんの"兄"になる。兄というアイデンティティを持ったことで自分を取り戻す。
では、なぜくんちゃんは両親の名前を言えないのか。
この作品の大前提に『一人である程度のことはできるようになったが甘えたい盛りのくんちゃん』と『まだ何もできない目新しくてかわいい未来ちゃん』が対比して存在している。
高校生になったくんちゃんは両親の幼いくんちゃんにかまってあげられない事情などを理解しているが、幼いくんちゃんにはその事情が理解できない。
そんなくんちゃんが(かまってくれなくなった)両親の力を借りずに成長するというのが、この物語の主題ではないだろうか。
声優のキャスティングミス感がやばい。