京浜東北線に揺られながら、このまま東京まで行って、人並みに呑まれるまま自分を証明出来なかったら、とふと考える。子どものときにこの映画を観なくてよかった。間違いなくあの新幹線のシーンを反芻して、夜中トイレに行けなくなっていたと思う。
とある家族に連なる歴史を切り貼りしたアルバムを、4歳の男の子とともに眺めているような作品だった。そのワンシーンをひとつ体験するごとに彼は、そのぶんちょっぴり成長する。
自転車に乗れるようになる。
青いズボンが穿けるようになる。
きっと彼はイヤイヤ期の真っ只中で、その本質は変わらないけれど、それでも『ミライちゃんのお兄ちゃん』になっていく。
久しぶりに母と観る映画だった。
60代の母、20代の私とでは視点が違ったようで、劇場を出たあと感想交換しながら食べた大戸屋の黒酢あんかけが美味しかった。