柏エシディシ

未来のミライの柏エシディシのレビュー・感想・評価

未来のミライ(2018年製作の映画)
3.0
夏の風物詩、細田アニメ、滑り込みで。いつでも行けると思ってたら、すっかり秋ですねーw

前作「バケモノの子」の王道冒険活劇(を装った変わりモン)から、子供の目線を通したミニマムな世界(これまた、そう一筋縄では、、というのが「らしい」)という切り返しから、こりゃ細田版「トトロ」?と思っていたら、その狙いはあったみたいです。
「家族」の在り方を問い質す、という細田守作品一貫したテーマは鉄板。
ドラえもん、クレヨンしんちゃん的なオムニバスストーリーの寓話というか童話集という趣き。

どうやら、主人公くんちゃんのウザさもあり、巷では賛否両論好き嫌いが分かれてる様ですが、自分は嫌いじゃないです。作品もくんちゃんも。
自分自身が2人兄妹で、男子幼児のクソガキぶりは甥っ子兄弟で見慣れている為、逆にその所作のアニメーション的再現度も含めて、あるあるリアリティ感じられ、スムーズに映画世界に入っていけた。あんなモンでしょ、子供ってw

そして、あれくらいの幼児の頭の中も、あんなモンなんだと思う。リアルとイマジネーション、自己と世界の境界が曖昧。
私たちの様な年代の人間も見事にその世界を疑似体験出来るアニメーションの特性を上手く活かせてると思います。
その「2つの世界」の仕組みの筋立てが(特に後半)野暮ったかった前作「バケモノの子」より、「や、この世界はそんなモンだから」って投げっぱなしの方が映画や特にアニメはいい様に思うし、本作はそれが奏功していると思う。

ちょっと苦言を呈すると、本作で白眉とも言える「ひいジイジ」のエピソード。劇場でも目頭が熱くなった良いシーンなんだけれど、馬の疾走も、その後の単車の走行シーンも、アニメーション的な快感が弱いというか、物足りなかったというか。作画的な気持ち良さを感じられなかったのが残念。
「アニメーション」である以上、そういう気持ち良さを求めて自分はアニメ作品を見るのだけれど、全体的に細田作品に物足りなくなるのはいつもそういう所だったりする。
あ、くんちゃんの「東京駅」は面白かったーー
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