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ロンドン、人生はじめますのsarのレビュー・感想・評価

ロンドン、人生はじめます(2017年製作の映画)
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ドナルドが法廷で放った「今まで人とは違う生き方をしてきた。だけど人に迷惑をかけた事はないし誰かにこの生き方に文句をつけられる筋合いはない」という言葉が沁みた。エミリー曰く自尊心を傷つけられるとヤマアラシのように怒り怯え毛を逆立てるドナルドはきっと今まで数えきれないほど自分の生き方を否定され蔑まれてきたのだろう。例えそれが自ら好んで選んだ最良の道だとしてもだ。人の生き方について自分の尺度でしか推し量ることのできない人は一定数いる。負け組、勝ち組というレッテルを自分勝手に付けて自分が思う世間のレールから外れた者は見下す。自ら好んで人と違う生き方をするというのは大抵は理解されないし貫く事で大切な誰かを傷つけるかもしれない。それでも自分はこう生きたいと貫き通す意志を持ち続ける事は難しい。エミリーとドナルドの関係性もそうだけど、パートナーとして生きていく上ではこう生きたいとこう生きたいのぶつかり合いが発生する。場合によっては自分のこう生きたいを我慢して相手に雁字搦めにされる可能性だってある。だから妥協しあってこう生きたいと伝え合って支え合う必要性があるのだなと思ったしやっぱり誰にも縛られない自由な生き方って魅惑的だけど寄り添い合う生き方も捨てがたい。
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