くう

人魚の眠る家のくうのネタバレレビュー・内容・結末

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

子供が寝た後、毎日ちょっとずつ観てやっと今年初映画終了。泣けるとは聞いていたけれど、こんなに胸を締め付けられるとは思っていなかった。

脳死は人の死か。
母親の立場に感情移入して見ていたはずなのに、段々と父親と同じ立場になって考えていたことにハッと気づく。第三者からしたら、意識なく動く体や、意識のない娘を連れ回す母親は恐ろしく、異質に見える。怖い演出のせいもあるが、実際見かけたら私はどう思うだろう。
もし現実で関わることがあったら、部下の方のように、自分の目指す方向を見誤らないよう、他者に共感、感情移入しすぎるのは気をつけたい。

子供たちの演技も素晴らしい。
息子をひたすら抱きしめてあげたくなる。
あなたにはもう1人大事な子供がいるんだよって母親に教えてあげたくなる。いっぱいいっぱいで気づけない気持ちもとても分かるけども。
学校社会と、母親への気遣い、自分の考え方の板挟みでとても苦しかっただろうと思うとただただ頑張ったねと褒めてあげたい。
そしていとこの子の「ごめんなさい」。
事故の真相に仕方ないとは思いつつ、母親としては直後に分かっていたらカッとなっていたかもしれない。その子のせいにしたくなっていたかも。そうならないためには時間が必要だったと思うし、その時間を結果的に与えた父親は判断をきっと間違えてなかった。
時間は「優しい子だから、あの子ならきっと…」という思いをもっと強く、迷いをなくしてくれたはず。
「あなたのおかげよ」に、いつも言わないだけでいろいろ悩んでいた旦那さんも救われているといいな。

出てくる方々の気持ちとか考え方とか、その揺らぎだとか、全員に共感できる部分がある。
その上で、やっぱり自分の考えはなかなか決めきれない。その時になってしまったら、自分はどんな答えを出すだろう。
子供との最期が忙しいなかでの別れだったなんて後悔しかない。
だから今すぐに決められることは、別れ際をいつでも大切にしたいということ。

かなしいけど、いろいろと考えさせられる面白い作品で、いつも長文にしないようにしてるのにばーっと書きすぎてしまった。
時間をおいて、また鑑賞し直したい。
くう

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