Hoshiduru

人魚の眠る家のHoshiduruのレビュー・感想・評価

人魚の眠る家(2018年製作の映画)
2.9
原作小説読んだ時になんとなく整理がつかず、映像で観たいな、と思っていた。
今回確信したのは、この物語は、命の尊厳の話でもあるけれど、同時に対話の話だということだ。行動や事態の裏にある色々に「なんとなく触れられない」が重なっていき、勝手に想像を重ね、そうやってすれ違いギスギスしていく過程を丁寧に描いていると思う。

「尊重」という形で距離を置いて、理解してるふりの無理解ばかりで。本当ならもっと沢山衝突して、いっぱい傷つけ合いながらも、後悔や迷いを滲ませつつも決断をしていくことなはずなのに。もっと本人と話し合えよ!娘は話せないけど、だからこそ、あなたたちはみんな生きてて話し合えることの価値を享受しろよ!!ってなった。でも怖いよね、そこに結論を出してしまうこと自体が、みんな怖かったのかもね。

原作の繊細さが削がれて単純で大仰な話になってしまったのは正直残念ではある。しかし、個人的には、シンプルな軸を見せてもらえたおかげで、原作で混乱した箇所にも整理がついてちょうどよかったとも言える。
Hoshiduru

Hoshiduru