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眠狂四郎 女妖剣のCisaraghiのネタバレレビュー・内容・結末

眠狂四郎 女妖剣(1964年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

眠狂四郎二作目。『勝負』に比べたらかなりエログロ度高くB級感強め、趣味はよろしくない。こういうのが受ける時代だったのか、そういえば昔のTVではよく女性がいきなり裸で登場したりしてたなと思い出す。今では考えられない。いわゆるお色気番組なんてのもあった。この映画もその手の下衆な需要に多分に乗っかった部分がないとは言えないだろう。あんな上品な雰囲気の藤村志保さんですら裸にならされて泣かされて、全くひどい話だ…。

製作側は、当時大人気だった007シリーズのボンドガールにあやかって、お色気部隊を狂四郎ガールズとして登場させたらしく、その狙いが当たってか興行的には成功したらしい。しかし、ショーンコネリーにグラマーなセクシー美女は似合うけど、草食系で清潔感のある雷蔵さんにネットリした露骨なお色気は重すぎるし、スタイル抜群のボンドガールに対してこちらは昭和の日本人体型、ガールズなんて洒落たものではないのが何とも…。

コメディで市川雷蔵に目覚めた者としては、今のところ眠狂四郎のキャラクターの魅力はよくわからない。口角を下げてわざと重々しくエラソーに話す狂四郎は私の好きな雷蔵さんとは言えず、ジャンル映画としてのチャンバラ映画にもさして興味がないので合わないのは仕方ないかも。この『女妖剣』に至っては、コメディでなくてもいいけど、仕事選んでくれー!とすら思う。
 雷蔵さんがこの映画に出たくなかったかどうかはわからないが、仕事が選べなかったことは事実。選べたら、市川雷蔵はもっと長生きしていたに違いない。再三に渡り、年間製作本数を減らしてもっとじっくり映画を作るべきだと主張していた雷蔵さん、やりたくない仕事もたくさんあっただろうと思うと、残した映画の本数が多いことを喜んでばかりもいられなくて複雑な気持ちだ。

でも、この映画、眠狂四郎を田村正和が演じていたら、エロくてグロい頽廃的で耽美的な世界観に合っていて、それなりによかったのではないかという気がする。

10
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