ぐっない

エブリデイのぐっないのレビュー・感想・評価

エブリデイ(2018年製作の映画)
4.8
すっごく、すっごくよかった。ほんとうによかった。もう朝の6時なんだけど、ぐっすり眠って太陽の光だけで目覚めたみたいに気持ちがよい。!

以下、ビューティーインサイドとの比較が幾つか出てきますが、この映画はなにかと比較せずとも素晴らしかったです。考えの整理のために比較させてください。




私がビューティーインサイドで納得できなかったのは、「生」を舐めている、と思ったからだ。人間を馬鹿にしていると。

ビューティーインサイドでは、身体がぽんぽん出てくる。心は無しに、身体だけぽんぽん出てきて、主人公の心に結合する。それっておかしいと思った。身体が生きている以上、血が流れていて、心臓があって、遺伝子があって、生まれた場所(ほとんどの場合お母さん)があるはずだ。でもビューティーインサイドに出てくる身体には、それらが無いかのように思える。なのに心に結合している。それっておかしい。
でもこの映画では、身体があり、心があり、人生がある「ひと」に、Aが憑依する。だからAは、その憑依したひとの記憶や感情がなんとなく分かる。憑依されたひとも、Aの存在をなんとなく思い出せる。これは人間に逆行していないと思った。

(たぶん私、心だけ生まれてくるのは分かるんだけど、身体だけ生まれてくるのは納得できないんだと思う。)


この映画に出てくるひとたちは心を持っているから悩みがある。悩みがあるし、上手くいかないことがあるし、置き去りにできない生活がある。人生がある。そしてそれが素晴らしいのだ。でもビューティーインサイドには無かった。誰も生きていなかった。

あと私がすごくすごく良いなあと思ったのは、リアノンがAを好きだと自覚する理由。Aがリアノンに憑依するから、リアノンはAの性格や心を感じられた。だからAのことを好きになれた。
私は心を信用していない。信用していないというか、あまりにも大きいものだし、見えないから、分かるはずがないと思っている。自分の心さえ分からないのに、ましてや他人の心なんて。だから身体がない人、毎日変わる人を好きになるのはほとんど不可能だと思う。でもリアノンとAが愛し合えたのはすごく理解できたし、いいなあと思えた。


最後、最後のAの決断、あんなに素敵な告白ってあるか?と思う。
ひとを大切にするということは、誰かを愛するということは、こうなんだなあって。


Aがリアノンに憑依して、お姉さんと車に乗っている時、急にA(リアノン)が笑い出すんだけど、あのシーン、すっっっごく好きだ。すっっっっっごく。好きな人の身体になって世界を見るAの気持ちがものすごく伝わってくる。私たちの世界も、生活も、この心で感じることも、瞳を通して見えるものも、素晴らしいものなのだと思えた。
私も、誰かの身体に乗り移って、誰かの生活をしてみたいな。誰かの瞳で世界を見たいな。
でも私はこの身体にうまれたから、この心をもってしまったから、これで生きていくぞう。
この身体大切にしなきゃな、と思って、観ながら筋トレしてた。自分のこと、好きになりたい!!


この映画のことを教えてくれたお二人、本当にありがとうございます。とってもスッキリしました。映画ってステキ!
ぐっない

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