七沖

1987、ある闘いの真実の七沖のレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
4.6
〝誰もが驚愕する。これは、わずか31年前の事件--〟
『デトロイト』に心揺さぶられた人は、本作も絶対に心が動かされるのではないだろうか。少なくとも自分はそうだ。

1987年、チョン・ドゥファン大統領による軍事政権下で、反対デモに関わった容疑で大学生が警察に拷問されて死亡する。警察は拷問致死を隠蔽するため遺体を即日火葬しようとするが、この事件は新聞社にすっぱ抜かれて全国に広がり、現体制への国民の反発は頂点に達していく…というストーリー。

恥ずかしながら、たった31年前の隣国のことなのにこの事件を全く知らなかった。
熱量がすごい。自由を勝ち取るために国民が団結して独裁体制に抗議していく姿に圧倒された。
ラストシーンの大群衆の叫びに涙腺が緩んだ。…かと思ったら、エンドロールの映像にも胸を打たれる。本編以上の規模で民衆が集っている様子に思わず涙がこぼれてしまった。

おかしいと思ったことは上からの命令であろうと拒絶したり、いつバレるか分からない危険を犯してでも活動を続けていたりと、いつの時代も歴史の流れを変えるのは勇気ある行動だ。
どんなに脅されても毅然とした態度をとり続けるチェ検事、家族を大切にしつつも秘密裏に民主化運動を続けるハン、初めは無関心だったがデモ隊のリーダーに窮地を救われたことで意識が変わっていく女子大生のヨニ。他にも大勢の勇気ある人たちの行動が大きなうねりとなって歴史を動かしていく様子は圧巻だ。

『シン・ゴジラ』のように新キャラが出るたびにテロップで人物紹介が出るが、正直覚えきれない。だが、それでも問題なく楽しめる。キャラの行動で誰が誰だか認識できるようになるからだ。群像劇としての完成度はかなり高いと思う。



あと、本当にどうでもいい話だが、刑務所のハン看守の上司がドニー・イェンにしか見えなかった。
七沖

七沖