此の映画の象徴で有るシャーロット・ランプリングが半裸サスペンダー付きの軍服で唄う「愛の嵐」はマレーネ・ディートリッヒの曲のカヴァーですが唄い方も妖艶で頽廃的で恐ろしい。オスカー・ワイルド&ビアズリーの「サロメ」の一場面を再現して、劇中に仕込んだ背徳的な面を表現する手法にも眩惑されました。「魔笛」の選曲も良く、70年代のデカダンスを体現した傑作。
ルチアの少女時代への退行が不自然さを増し、よりデカダンスな雰囲気が濃厚に成る作品でした。極限状態に陥ると本能的&野生的に成り、ラストはずっと記憶に残る程のインパクトが有りました。