らんらん

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイのらんらんのレビュー・感想・評価

4.2
ステファノ・ソッリマ監督、テイラー・シェリダン脚本。2018年。

前作のヴィルヌーヴ版(2015)では、FBI捜査官ケイト(エミリー・ブラント)が外部視点を演じていたが、今作では10代の男女が代わりを務める。
職業倫理や理念の闘いがなくなった分、情の割合が増えて観やすくはなった。

前作も今作も、冒頭に強烈な暴力シーンを置いて目と耳を惹きつける。下手な情理を寄せ付けない圧倒的画力でぶち上げた前作に比べ、今作はちょっと甘めである。
ただし今回の作戦を観客に納得させる効果としては十分。

フリーの殺し屋=シカリオを演じるのは、ベニチオ・デル・トロ。

大きな体躯が安心感となり威圧感となる。あらゆる辛酸を舐め尽くしたという顔をして、行き場の無い執着を演じるので目が離せない。
正義でもないが悪でもない。得体の知れない振り幅をもって、心身のボーダーラインを行き来する。

そして国境を挟み、子供をも利用する彼らと、彼ら。

彼らは平気で嘘を吐く。
政府機関に属するジョシュ・ブローリンが、軍人的な無駄の無さで「全員立て」という嘘を吐くのが一番怖ろしい。力を失ったギャングは勘違いをしたけれど、コミュニケーションなぞとうに失われている。そこにはただ空しい壁、隔たりあるのみ。
青い空。
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