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君が君で君だの特売小説のレビュー・感想・評価

君が君で君だ(2018年製作の映画)
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段階的にではなく既に茹で上がった状態を先ずは観客に突き付ける構成からして。

度を越した3人の共同体をはっきりと異常なものとして、それこそ共感を拒むレベルで以て描いている訳ですよ、感情としては理解出来るものではあっても。

ですから客観的に観ていられる訳ですよ、或いは安心を思いながら。

自分、とやらを確立出来てはいないから誰か他人を通してそれを見出そうとする未熟さ故の必死さだったり、単純に同性の友人ときゃっきゃする姿を羨ましいと思いながら。

ところが不意の瞬間に、もの凄く単純にして卑近な言葉で、冷静ぶった観客としてではなく、3人の共同体を面白がって、なんなら仲間に加わりたいとさえ考えている言わば当事者としての回答を、求めてくる場面が御座いますわね。

ところでその該当場面に登場する夜回りの看護士、これに扮していたのが山田真歩だったのかしら、だとしたら完璧過ぎる配役、大倉孝二との相性もばっちりに思いましたものですからその二人の共演で以て例えばおかしな夫婦ものなんかが観てみたいわね、勿論松居大悟監督脚本で、それはさて措き。

詰まり。

この瞬間の為に俺は映画を観ているのだ、と強く感じさせてくれる場面、これがしっかりと用意されて御座いまして。

「アズミ・ハルコは行方不明」に続いてまたぞろやられっちまいましたよねこりゃあ、と。
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