ジナイーダ

万引き家族のジナイーダのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

今年の冬、シェアハウスをしている友人と雪だるまを作った。かなりでかいの1m30cmくらい。なかなか溶けないから、溶けるまで毎日見ていた。おじさんもこうして雪だるまを見つめていただろう。いつも自分を置いて先に行ってしまったショウタを忘れぬように、忘れるように。しかし太陽は二人の思い出を溶かしただろう。『万引き家族』はそんな、しっかりしてるように見えて、誰かが突いたら壊れてしまうような脆いものだった。遠い上空から、お父さんと息子が駆けっこして遊んでる姿や、花火大会の音を縁側に出て皆んなで見ている姿を映すショット、そして浜辺で手を繋いでジャンプする後ろ姿を映すショットは、誰が誰だか識別できないけれど、いや認識できないから、その姿は「ごく普通の家族」だった。
いくら一緒に雪を固めても、太陽の光は氷より強い。彼らにとって太陽は世間とか警察とか法とか。
それらの正義で彼らの正義を裁いた。「本当ではない」と。その結果が最後のシーンだ。元に戻ったジュリが外で一人で遊んでる。塀から何かを見つめ、そこから落ちるか落ちないかのアクションで終わる。
結局どちらの正義が正しいのかったのか、
選択は我々に委ねられた。

#万引き家族レビュアー試写会
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