是枝監督の家族シリーズ最新作。
テーマや問題提起の内容が、監督の歴代作品の詰め合わせな感じなのと、今作の歪すぎる家族像がファンタジーに感じられて自分は乗れなかった。
自分が今までの是枝作品で好きだった要素は、シンプルな物語や平凡な家庭の中にある人生の深みみたいなものや、登場人物達の自然な距離感や自然な会話な部分だったけど、今作からはどちらも得られなかった。
役者達は皆上手かっただけに、脚本や撮り方に問題があったと思う。
あの家族が構成された背景が説明不足すぎて家族それぞれの距離感が掴みにくいし、松岡茉優のパートも感情の機微が読みとれなくて彼女の行動に共感できない。
また、安藤サクラは真正面から撮られるショットが多すぎて「ほら、今から彼女が迫真の演技するからじっくり見てくださいね！」と言わんばかりな製作者の意図が透けてしまった。
日本の文化や感性を完全に把握できていない海外からの評価は高いかもしれないけど、日本人には「歩いても歩いても」や「海よりもまだ深く」の方が心にじわりと響くのではないかな。
