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ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋のsomaddesignのレビュー・感想・評価

5.0
LONG SHOT =望み薄、(競馬などで)勝ち目のない大穴
(weblio英和辞典より)

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才色兼備のアメリカの国務長官として活躍するシャーロット・フィールド。アホ大統領の辞任に伴う初の女性大統領誕生を目指して、大統領選キャンペーンで大忙し。新しくユーモア溢れるスピーチライターとして雇ったのは、ひょんなことから再会した旧友のジャーナリスト・フレッド。優秀ながら頑固が仇で職を失ったフレッドにとっては、シャーロットは初恋の人だった。彼女が高嶺の花であることがわかっていながらフレッドは恋に落ちてしまう。

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隠れた名作「50/50」のジョナサン・レヴィン監督とみんな大好きセス・ローゲンの男汁タッグ再び。
昨今増えつつある、逆シンデレラストーリーをさらに現代的にアップデートしつつ、多層的な鋭いコメディに昇華してて超楽しかった!

「マイ・フェアレディ」「プリティ・ウーマン」に代表される現代のシンデレラストーリーを単純に男女逆転させるだけじゃなくて、それぞれが縛られる「男らしさ/女らしさ」についての葛藤の話にもなってる。近年ハリウッドでさえ男女格差が暴露されて、#metoo運動に繋がっていくくらい、性差別の根深さも伺える。

設定の勝利っちゅーか、舞台が超男社会の政治劇なので、否応無く政治の欺瞞も暴くし、人気はあるけど脳はない大統領の滑稽さだったり、利益のためには手段を選ばない資本主義の弊害、宗教やイデオロギーが人々を分断してしまう問題etc…
本来シリアスに語られがちな話題を、どこまでもポップな語り口で膝カックンな笑いに変えちゃうのがすごいし、かつほとんど下ネタなのが酷面白い。

直接的な元ネタはマイケル・ダグラスの「アメリカン・プレジデント」だと思う。大忙しのやもめ大統領と、環境保護団体の女性ロビイストの恋が今作の下敷きになってると思うし、96年より今作の方がずっと環境問題が切迫した課題なのも大きい。


単純にロマンチックコメディとしても超楽しくて、シャーリーズ・セロンとセス・ローゲンの組み合わせがマジ素晴らしい。フュリオサ大隊長(MADMAX)とフランクフルト(ソーセージ・パーティ)の恋に脳内変換しながら見ても超楽しいし、南アフリカ出身の超美人とカナダ産のクマ男の恋模様と見ても超楽しい!

完璧超人&美人なシャーロットではあるものの、長年政治の世界に身を置いてるせいか用心深くて、なかなか心を開いたり弱味を見せることができない。一方のフレッドも真面目で妥協のできない頑迷な男だが、ユーモアに溢れて一緒にいると楽しい愛される男だ。各々の足りないところを補う関係性が見てるだけで微笑ましい。
特にフュリオサ……じゃなかった、シャーロットがフレッドの服装で破顔一笑。大笑いするシーンがホントに素晴らしくて、心の底からゲラゲラ笑う姿が腹の底を見せるリラックスした姿に見えて超良かった!
(フレッドはもちろん、シャーロットも弱々しく泣くシーンが全然ないのも同系ラブコメにしては斬新!)


クライマックスにありがちな二者択一が用意されているけど、「知らんがな!なんで選択肢2つしかないんじゃ!」とばかりに、蹴散らす結末もカッコいい。

(余談)
エンドロールでアンディ・サーキスが出てるの気がついた。あとで調べたら、メディア王:ウェンブリー役か! 特殊メイクのせいか全然わからなかったよ!
LotRのゴラムとか猿の惑星のシーザー、SWのスノークがフュリオサとフランクフルトの恋路を邪魔しに出てきた!と思ってみたらより楽しめそう(((o(*゚▽゚*)o)))



4本目
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