砂

祈りの砂のレビュー・感想・評価

祈り(1967年製作の映画)
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まず端的にこの映画を観賞後に出てきた言葉は、美しい映画的寡黙だった。
時代や宗教的意味合いを越え、非常に普遍性のある作品だった。

異なる宗教が対立し殺しあう地域で、抑圧的風習に懐疑を挟んだ男が内なる声に従うことで、村を追い出される。倒した敵を個として認識し、祈りを捧げた。因果のように敵側でも同様のことがおき、掟により裁かれる。
主人公死後、善悪の挙式シーン付近は特に痛烈だった。

コントラストが明確な映画だ。
個から発露した祈りと郡を束ねる祈り。
モノクロだからこそ際立つ明暗、白と黒。
粗雑であまり好きな表現ではないが、寡黙さの内に普遍的問いを孕む詩的な作品であった。

ワンショットシネマで観たが、これほどの作品が日本初公開というのは以外だ。かなり勿体無いので、ぜひソフト化されてほしい。
砂