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アガサ・クリスティー ねじれた家のペジオのレビュー・感想・評価

3.8
「当てずっぽうで犯人当て」を履歴書の趣味・特技の欄に書きたい僕としては、「意外な犯人」率の高いアガサ・クリスティは対戦相手として絶好の相手
有名な『オリエント急行殺人事件』や『アクロイド殺し』なんかはいつの間にか犯人のネタバレを喰らっていたので、それほど有名でないクリスティ作品の映像化は有難い

要は「この人が犯人だったら面白くなるよね」の一心で犯人を当てようという試みに他ならないので、僕自身のエンタメ素養を試す良い機会として捉えているのかもしれない

こういう本格ミステリーにおける「意外な犯人」とは、犯人の「キャラクター」の意外性というよりは、あくまで登場人物たちの相関図から…「ポジション」の意外性に頼る故に、二度と同じ事はできない
そんな縛りの中で「意外な犯人」を量産し続けたクリスティはなんだかんだ言って偉大だなと思う(そんなに数読んでないですが。『マザーグース殺人事件』とかは種明かしまで犯人分からんかった。)

探偵による個別の聞き取りを前フリとして、所々でキャラクター達が一同に集うシーンを映画的見せ場にする(単調になりがちなミステリーのアクセントとする)構成はそれなりに上手いと思うが、もっとコッテリと描いても良いのではなかろうか?(アッサリ故に観やすいというのもあるが。)
『8月の家族たち』ぐらい濃く描く道もあったように思うが、ラストの潔さを見るに「ミステリー」の枠を良くも悪くも超えない作りを目指したのだろう(ラストの無駄の無さは好き。思わぬ爆発シーンも見られたし。)

…ちなみに犯人は…当たりました
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