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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのtrswのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

なんか哲学的....タランティーノなのに...

「虚構の街」ハリウッドが生み出してきたものへの敬意とそれゆえの批判的視点を持ち合わせているタランティーノならではの1969年の描き方

ハリウッドのスタジオで俳優たちが鉄砲遊びに勤しんでいた頃、海の向こう側では本物の銃や火炎放射器が大量のベトナム人とアメリカ人を死に追いやっていた
ヒッピーの少女の言う「彼らが人々に殺しを教えたんだ」ってのはどこまで行っても完全には否定できない

1969年、サイケデリックカルチャーや新宗教など新しい虚構が過去の虚構を洗い流していく 虚構の世界から人が押し出される ここが映画としてのエモーショナルさを補強してて良いよね

そして、この映画もまた虚構に過ぎない カリカチュアされた暴力を描くことには人一倍の強みがあるタランティーノが、虚構を通して表現したかったのは何か?それは、虚構によって、虚構に奪われた現実を取り戻す脱構築の営み
「ヘルター・スケルター」から存在しない陰謀を生み出したチャールズ・マンソンは虚構の中でシャロン・テートらを殺害し、現実を奪った それを、映画という虚構の中で取り戻し、本当にあるべきだった現実を我々の前に提示する シャロン・テートが撮るはずだった映画の数々...それを、存在しない映画作品やドラマを虚構に存在させることを生贄に現実に召喚する

もしかしたらフィクションが原因で、今も中東の人々の命が奪われているかもしれない それは断言できないけど、事実として2021年のDCではフィクションが原因で人が死んでいる でも虚構は同時に現実を取り戻すこともできる 2時間だけだったとしても....(We can be heroes just for one day)

車、かっこいい!!!!!!!!
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