SANKOU

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのSANKOUのレビュー・感想・評価

3.9
相変わらずタランティーノらしい過激で挑発的な内容、倫理的にどうなの?というシーンもあるけれど、ためらわずにやりきってしまうエネルギーがすごいと思う。正直やりたいことを詰め込み過ぎて何だか分からない作品だったけど、何故か引き寄せられてしまうのはタランティーノの映画への熱い愛があるからかもしれない。ブルース・リーやスティーヴ・マックイーンといった実在した俳優が登場するところや、映画『大脱走』のワンシーンにディカプリオが出演するところなど、映画ファンには嬉しい演出が多かった。落ち目の元西部劇の看板俳優リック・ダルトンを演じるディカプリオとそのスタントマンのクリフを演じるブラッド・ピットが今回初共演ということだが、とても息のあったコンビだと思った。ヒッピー役の長髪の男が馬を駆る姿が格好良かったが、多分あれはスタントなしでやっていたと思う。ブルース・リーは自分の洗練された肉体を使って身体表現をし、リック・ダルトンは再起を図った出演作品で役にのめりこんで迫真の演技を見せる。映画という作り物の世界の中で、いかにリアルを追及するか、そんなこだわりを感じさせる作品でもあった。一見人当たりが良さそうに見えるブラッド・ピットのいかれ具合も最高だったが、ラストは色々クレイジー過ぎて若干引いてしまった。
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