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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のtanakaのレビュー・感想・評価

5.0
まず、色々と苦言を呈したいのは事実です。ハイ・エボリューショナリーがロナンやエゴといったMCUの中でも最強格とも言えるヴィランに比べて、力もマインドも物足りなかったり、Vol.2に比べて宇宙船でのバトルシーンが控えめだったり、終盤に出てくる子ども達が普通に可愛かったりなどなど。特に子ども達については、普通に可愛いだけなのがもの足りず‥。どんな見た目でもどんな性格の奴でも、友達なら誰だって助ける、そんな愛すべきはぐれ者達がガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。可愛い見た目の子ども達を普通に助けるのが何か物足りないというか‥。まあマンティスが檻を開けると、そこにはグロテスクな姿をした生き物がいて、彼?彼女?もちゃんと助けていた所があったから良かったです。

冒頭から苦言を記してしまいましたが、逆に言うとマイナス点はそんなもんで、それらを踏まえてもガーディアンズらしい文句なしの完結作である事には間違いなしです。1と2からは似ても似つかない悲壮感を漂わせたオープニングから展開されるロケットの悲しい過去。ガーディアンズとは思えない、明るくも絶望感漂う雰囲気が印象的でした。ジェームズ・ガンは最もお気に入りのキャラクターであるロケットの話を終わらせないとガーディアンズは終わらせられないとインタビューで語っていましたが、その覚悟がひしひしと伝わってきて、「ああ、本当に終わっちゃうんだ😢」とシンミリしておりました。全体的にムードはシリアスで、所々でらしいギャグが炸裂して楽しくなりつつも、同時並行で進行するロケットの悲しい過去が心に重くのしかかるような、そんな構成でありました。

だからこそ、終盤に爆発する、奴等の活躍に胸が熱くなるんです。ロケットを救うという目的を果たしたのに、友達を救うため、過去から逃げないために戦いを挑みに歩みを進める1シーンとかですね。特に熱いのは、ハイ・エボリューショナリーに力比べで勝つのではなく、あくまで論理で勝つという点。

「ありのままの存在ではなく、あるべき存在であれ」と言うハイ・エボリューショナリーに対し、「お前の敗因は、ありのままの存在を受け容れないからだ」と言い切るガーディアンズの面々。一見、欠点だらけで喧嘩ばかりの彼らが、互いの長所も短所もまるごと引っくるめた上でぶちのめす展開に最高に痺れます。欠点があって良いじゃないか!強さや知性だけが生き物の全てじゃないんです。3部作を通して描かれてきたガーディアンズとジェームズ・ガンの一貫した人間賛歌、いや生きとし生けるもの全てに向けた優しさに満ちたメッセージに胸を打たれます。

ラストのダンスシーンは、お祭終わりに見えて寂しくて悲しくて。でも、容姿、人種みんなバラバラの住人達が笑顔で踊ってる姿を見てると楽しくなってきて、寂しいけどこれで良いんだと思えたし、10年もの間楽しませてくれてありがとうと、心から思えたのでした。

P.S.
ロボコップの顔のペリペリを剥がしたいと思ってる映画ファンの人達。その欲求を、本作が叶えてくれるぞ!!
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