マインド亀

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3のマインド亀のレビュー・感想・評価

4.5
「ありのまま」でいること、「個々人の自由」を奪わないこと、最高のファミリー!有終の美!!

●ついに…彼らの物語が終わる…当然中学生の息子と映画館で鑑賞してきました!
いやもう、これ以上ないくらいの素晴らしい決着!シリーズの最後を、やっぱりジェームズ・ガンは裏切らずにやってくれました!
本編三部作だけでなくソーやアベンジャーズやホリデースペシャルを合わせると8作品(アイ・アム グルート合わせるともっとですが…)の一大叙事詩ですが、作品を重ねるに連れチームメンバーが増員、ワイスピシリーズで言うところの「ファミリー」感がどんどん増して、ちょっと嫌な感じがしてきてたんですが、こちらの疑似家族の決着は納得中の納得です!同じ疑似家族でも、ワイスピの家父長制感が高い疑似家族ではなく、「家族なんだからどこにいても家族なんだよ」と、個々人を尊重した自由主義の疑似家族。そしてそれぞれを「ありのままでいいんだ!」と認め合う理想の疑似家族だと思いました。そしてそれらはそんなめちゃくちゃ観客の心に寄り添った感動を与えてくれたと思います。

●まず本作は、ロケットがメインのストーリーで、思えば1も2も、最も個性の強いキャラクターにも関わらずそのバックボーンが語られていませんでした。満を持して3作目の完結編に彼のバックボーンが語られるということは、ある意味この三部作が、彼が真の主役の物語だとも言えるかもしれません。思えば最も口汚く、マッチョな言動も多く、しかしどこか命も顧みない行動を取る、そしてなぜか弱き者に寄り添ってくれる、そんなロケットの全てがこの彼の出自によるものなのかもしれません。そう思うと、もう一度1から見直すとまた泣けて来るのかもしれないですね。
ほとんのメンバーが「親」からとんでもない仕打ちを受けたガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々の中でもロケットの出自は特に酷い。こんなツラい重荷を背負っていたことが、物語と並行して次第にわかっていくに連れ、ロケットを抱きしめてあげたくなるくらい感情移入してしまうのです。だからこそ彼の復活で滝のような涙が出てしまいました。

●また、彼だけでなく、全メンバーが最終的に「ありのまま」を全肯定されるのも本作の素晴らしさ。
ロケットがハイエボリューションに向かって言った言葉、「お前は完全を求めたんじゃない、ありのままを否定したんだ!」には号泣しました。この言葉は現代のありとあらゆるマイノリティやハンディキャップある人々を認め、優生思想を全否定する言葉で、弱きものを社会や政治や人々、環境全てが受容し、変化する必要があるというメッセージなんだと思います。
そしてその言葉通り、ポンコツなメンバーが、全員、自分の出来る以上の能力を引き出して活躍するんですね。そこには切り捨てられるキャラクターが全くいないのです。これこそがジェームズ・ガンの全作品に通ずる素晴らしさだとおもいました。ウォーロック、居場所が見つかってよかったね。そう素直に思える話の進め方が本当に上手い。最高でした。

●今回はわりと私にとっては90年代の名曲がかかるのも嬉しい限り。特に冒頭のレディオヘッドの『creep』はロケットの心境とうまくシンクロしてましたね。どの曲も歌詞内容が物語とシンクロしてるのですが、ひょっとするとジェームズ・ガンは歌詞の内容から物語を作っているのでは?と思いました。

●そしてやっぱりガーディアンズ・オブ・ギャラクシーといえば全員揃ってからの長回しバトル。今回は全メンバーが横一列に歩くシーンからして号泣。そして縦長のステージを使った効果的な縦横無尽のバトル。もう、こういうのも一切手を抜かない。スローからの長回しも決してやりすぎず効果的に各キャラクターの個性豊かな戦い方をかっこよく観せてくれます。そうなんですよね、いくらポンコツと言われようと、全キャラクターがMCUのヒーローに匹敵するくらい強いんですよね。そしてメンバーが揃うとこれ以上ないくらい強い。
そしてメンバーの今回良かったところを書き出すとキリがないので、流石にさっと触れるだけにしますが、マンティスもメンバーの中のメンタル面での拠り所になってるし、グルートの10丁(くらい)拳銃も最高にかっこよかったし、ネビュラも泣かせてくれるぜ!
そして、ピーターと付き合う前のガモーラも、彼女は前の彼女とは違う、ということが最後に認められててそこが本当に良かった!
あと、けっこードラックスとのしょーもない会話のやり取りがイライラするというレビューも多いですが、そんなにイライラしますかね?これぞガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのくだらなさ(褒めてます)ってな感じでドラックスサイコー!
あとクラグリンが最後に見る幻影のヨンドゥ…もうやめてくれ…滝の涙とまらねえよ…
コスモもあの小さな体で頑張るのズルい…泣くシーンばっか…。
そうなると本作けっこー影が薄くなってるのがピーター・クイル。彼は8歳で地球を離れているので、地球人の平均寿命を知らず、マンティスに地球人の寿命を聞かれて「ご…50歳くらい…?」と答えてるのが最高に可愛かったです!(笑)

●まあ本作はやはりというか、『ザ・スーサイド・スクワッド』にもあるようなジェームズ・ガン特有の容赦ない露悪的な部分もあって、人によっては「え?それそんなに軽く扱っていいの?」となるかもしれません。しかしながら本作はまだキャラクターがそれを真面目に悲しがっている方だし、それによってハイエボリューションへの憎悪も肌に感じることが出来るかと思います。

●兎にも角にも、MCU作品の中でももっともキレイに完結したシリーズだし、MCUは置いといても、他の作品に影響を与えたシリーズとして本作は映画史に残るでしょう!
欲を言えばインフィニティサーガが絡まない方が良かったなあ(ガモーラのストーリーがそこで進んでしまうため)…キレイに独立した形のほうが良かったなあとおもいますが、これだけの傑作シリーズをリオルタイムで映画館で見られる幸せを噛み締めて生きていきたいと思いました!
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