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クリード 炎の宿敵のmのレビュー・感想・評価

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)
4.8
前作からの監督交代が不安だったが、ドラコ親子の日常を捉えた燻んだ冒頭シーンとその後のヴィアンカ〜アドニス〜ロッキー登場の長回しを観て不安は消し飛んだ。スティーブン・ケイプル・Jr.監督の演出には、前作のライアン・クーグラー監督とは違う類のさり気ない巧さがある。エモーショナルなドラマを積み上げた果てのボクシング・シーンもしっかり迫力があって燃える。


マイケル・B・ジョーダン、テッサ・トンプソン、スタローンは相変わらず素晴らしいがやはり白眉はドラゴ親子。ドルフ・ラングレンがここまで味わい深い演技を見せるとは思いもしなかった。
息子役のフロリアン・ムンテアヌは屈強な肉体と相反する幼い眼差しを時折見せるのが印象的で、彼の報われない少年性が切ない。この映画で最も涙腺が緩んだ瞬間はクライマックスの試合の終盤に彼が母親がいた方を見て思わず声を漏らす所で、あの声に思わずもらい泣きしてしまった。


ヴィアンカの扱いも素晴らしく、彼女の苦悩もまた重要な要素として映画の中で丁寧に扱われているのが良かった。クライマックスのアドニス入場シーンでの堂々と先陣を切る彼女は、実にカッコいい。ここや他の至る所にも、現代的な夫婦の共闘が垣間見えた。
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