Garikuson

ガチ星のGarikusonのネタバレレビュー・内容・結末

ガチ星(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

2023.7月 再視聴

球団から戦力外通告を喰らい職を失った元プロ野球選手の中年男、濱島。
自堕落な生活に身を落とし、妻にも愛想を尽かされ、実家に転がり込んで8年。
なんとか友人の飲食店で働かせてもらうも、あろうことか友人の妻を抱いてしまい、それが災いして友人に絶交されてしまう。
さらには離れて暮らす息子の誕生日のプレゼント代を実母にせびった挙げ句、新台入替の文字に惹かれてパチンコに使ってしまい、息子とのキャッチボールの約束もすっぽかす始末。
元々性格に難のある濱島だが今回ばかりは深い自己嫌悪に陥ってしまう。
息子との電話で「なんで約束をすっぽかした?」と問われた濱島は、このままではダメだと奮起。
以前居酒屋で友人に冗談で言われた競輪選手への道を目指すべく心機一転、養成所に通うことになるのだが。。。

江口カンの作品だったのか。
今見ると、雰囲気も構成もサンクチュアリ感満載だな。

とにかく序盤の濱島がクソ野郎過ぎて同情できない。すべてこいつが悪い。
だがギャンブルを愛好する親父という立場は全く私と同じ。非常に身につまされるものがあった。。。

競輪に対する愛情めいたものは感じるが、それでもレース展開にはかなり無理がある気がする。
全体通して言えるけど、打鐘まで誰も誘導を切らないレースばっかり。これは中々消極的では。。。

特に久松とのレースは正直客としてみてたら大ブーイングものでしょう。
久松と濱島は同地区の北九州出身。当日のコメントは知らないが、見てる限り久松の番手に濱島がついている様に見える。それをジャン過ぎホームあたりから、先行する久松のインに濱島が競り込む意味がわからない。
競輪学校の先生が後に「あれはお前は悪くない」というが、どう見てもどう考えても濱島が悪い。最悪の番手でしょ。。。
あの展開は互いに単騎でないと意味がわからない。単騎だったとしても最悪の動きだが。

無理なく見れたのは濱島のデビューレースだけ。
あれは仕方ない。3番選手のナイスブロック。
その後別のレースでやり返すのは若干痛快ではある。
というか、濱島は新人なのに自力より横ばっかやってんな。オールドルーキーの定めか。
そう考えると現実世界でもオールドルーキーながら活躍してる皿屋とか、濱島よりはちょっと若いが元Jリーガーで活躍してる北井って超凄いんだな。。。
他にも40超えても自力で戦ってる選手、特にS級のおじさん選手はバケモノ揃いであることを改めて実感。

色々レースの描写には文句はあるが、とはいえ途中でおっさんが心を入替えて本気で競輪に取り組み、リハビリを終えた久松と再戦するシーンは胸熱ではあった。
そりゃこのレースも「単騎同士の先行争いがホーム前から続いてるのに、別選が誰も捲れないなんてことあるかね。。。」とか思ったりしたが。。。
というか久松、そんなペースで優勝してるのに特昇してないのか?


とはいえ、本来あまりスポットのあたらない協議である競輪にこれほど真面目に取り組んで、泥臭く頑張る男たちの姿を描ききった江口カン監督には、競輪ファンとして惜しみない賛辞を送りたい。
願わくばサンクチュアリみたいに、長尺のドラマで見たかったなぁ。。。
Garikuson

Garikuson