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大奥のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

大奥(2010年製作の映画)
4.6
江戸時代、第七代将軍徳川家継の治世。男だけを襲う謎の疫病により、男性の人口が激減した日本では、全ての要職を女性が担い、数少ない男の価値は子種を残すことのみであった。
そんな男女逆転した世にあって、水野祐之進(二宮和也)はもはや芸事と化した剣術に打ち込み、武士としての道を追い求めていた。
だが彼は、困窮した旗本である家を救うため、大奥にあがることを決意。それは互いに恋心を抱きながらも、身分違いの叶わぬ恋の相手である大問屋の娘、お信(堀北真希)への想いを断ち切るためでもあった。
意気揚々と月代を剃り上げ、髷を結い大奥にあがった水野は、これまで見たこともない程の数多の美男が集められている大奥に驚愕する。
徳川の血を絶やさぬため一人の女将軍のもと、3000人の美男が集められたといわれる女人禁制の男の園。そこでは将軍の寵愛を求めて、日夜、才色兼ね備えた男たちの熾烈な競争が繰り広げられていた。
不条理な世界で、容赦なく様々な嫌がらせの洗礼を浴びせられる新入りの水野であったが、持ち前の度胸と、良き理解者である古参の先輩格、杉下(阿部サダヲ)の助言で窮地を切り抜けていく。
冬。幼少で逝去した家継に代わり、紀州より第八代将軍徳川吉宗(柴咲コウ)が迎えられた。
策謀の果てに将軍の座を掴んだ吉宗は、武芸を好み、一人で馬を走らせる様な男勝りな面もありながら、不況の世を憂い、質素倹約を旨に果敢に政治の、そして大奥の抜本的改革に挑む知性に富んだ女性であった。
吉宗初の大奥へのお目見えとなる“総触れ”を控えたある日、水野は大奥総取締、藤波(佐々木蔵之介)から、将軍の“お手つき”として寵愛を受ける可能性のある御中臈の位への昇進を告げられる。
“総触れ”の日、美男揃いの大奥の中から、更に選ばれし者たちが色とりどりの裃で着飾り、御鈴廊下を埋め尽くす中、水野もそこに加わった。
そして鈴の音が鳴り、今まさに将軍吉宗が姿を現そうとしていた……。
一人の女将軍に3000人の美しき男たちが仕える男女逆転の大奥を描いたよしながふみの同名コミックを原作に、「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」の金子文紀監督が映画化。

前半部分は、家を助ける為に大奥に上がった水野裕之進が、上様にお目見えが叶うお中臈に成り上がるべく、先輩の杉下(阿部サダヲ)の指南と助言で同輩のライバルの鶴岡(大倉忠義)との死闘や同輩の嫌がらせなどを切り抜け、藤波の推挙でお中臈に抜擢されるまでの男たちの巣である大奥での出世編。
後半は、お中臈としてお目見えに望み、あるハプニングから将軍吉宗に見初められた水野が、辿る数奇な運命を描く。
剣に夢中で、情に厚い水野裕之進を演じる二宮和也の爽やかな中に一本気なキャラクターがハマっている。
また男勝りで情に厚い将軍吉宗は、NHKドラマ版で吉宗を演じる富永愛も男前でハマっていたが、柴咲コウも凛とした中に仁を重んじる将軍らしい魅力があり、和久井映見演じる腹心の加納久通や金子ノブアキ演じる忍びの三郎左との信頼し合う主従関係もよく、大奥総取締の藤波の策謀に将軍吉宗が立ち向かうドラマもあり、漫画「大奥」のファンには満足のユニークな時代劇映画。

Huluの配信は、今週金曜日までなので、お早めに。
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