jonajona

ギャングースのjonajonaのレビュー・感想・評価

ギャングース(2018年製作の映画)
3.6
原作漫画の絵柄に惹かれて、まだ読んでないのですが先に鑑賞しちゃいました。なんだろ、この本末転倒感…

犯罪者専門の(かな?)タタキという強盗集団の貧困層3人組のお話です。

○GOOD
・まず犯罪の枠組みの末端部分としてタタキという生業を設定してるあたりが面白かった。強盗団っていうとファンタジーではどうしてもカッコよく描かれがちですが、彼らの場合は上に情報屋がいて彼に金を搾取されながら皆で廃トラック暮らし。多少ファンタジーな演出にも見えますが、よく考えれば犯罪組織相手に強盗をしたりするのってどう考えてもリスキーで、裏に何か思惑があって依頼があったりするんだろうけど、捕まれば死ぬし。かっこいいわけない。そう思うと末端で落伍者が安銭のためにあくせく働くという構図が意外にもしっくりくる。リアリティがある。

・これが後半の貧困層VS悪辣富裕層の構造をわかりやすくしてて見やすかったです。富裕層といっても貧困から抜け出そうとしてるギャングで、結局ドッグイートドッグ状態なのが物語の閉塞感を高めててGOOD

・犯罪組織の闇金搬入ルートを尾行する下りがとても面白かったです。邦画らしくトコトコ後ろついていってわざとらし過ぎましたが、それを差し置いて人から人へ(至って一般人に見えるひと)カバンの受け渡しが行われ電車や住宅街、公園のトイレでどんどん流れていくシステムがワクワク。かつ『本当にやってそう!』という分業性のリアリティがある。これは多分原作の旨味なんじゃないかな。ますます原作が読んでみたくなりました。

・主人公(?)の境遇がかなり悲惨で応援したくなる。背中の虐待痕の件や、少女を思わず助けてしまうあたりに彼らの人間性を感じて好感。

・ケイパーものとして中々エンタメしてる。希望の後に絶望的な展開、というフリオチとそこからの盛り返しがあって飽きずに見れる。ただ重苦しくもならず、テンションは基本高めに保たれてて見やすい。

・山本舞香が出てる

・闇組織のボスMIYABIが変態っぽくてこの映画のポップさを一手に引き受けてる。拉致って車に乗り込むときのパジャマ仁王立ちがカッコいい。裸娘釣りのシーンは中々衝撃だったけど、釣ってから何したいのか知りたかったのでそのシーンが無いのは残念。

・少年院?での3人の出会いのシーンが秀逸。キャラが三者三様しっかり出てる。ちょっとトロい子、自暴自棄で優しいやつ、物騒ながら恐らく仲間思いな奴。

○bad
・MIYABIの良し悪しだけど、もっとラストの激昂シーンが小物感あった。キャラとして下っ端にしてやられた位であんなにキレるかな?と思っちゃった。仮にもギャングスターが…映画的にはわかりやすい。

・全体的に分かりやすさを追求してるためか、ご都合主義が多くて少し安っぽく感じた。ポップとも言えるが。

・山本舞香がなぜもっと出てない。

・主人公3人組の残り2人の過去が分からない。最後に急に邦画的な思いの丈を語り合う決意式的シーンがあるが、そこで急に過去を語られて俺はまだ死ねねー、と言われても些か唐突でついてけない。

・1番もやっとするのは、漫画では主人公って多分加藤涼なのに、今作だと高杉真空になってるところ。ジャケットの段階でちょっと大人の事情を感じた。『ギャングース』で検索するとキャスト陣のかなり後方に加藤涼の名前が出てきて凄くやるせない。(ちなみに別に加藤涼の演技は本作にはフィットしてるけど、思ってたのと違う)主人公が高杉くんなら彼の過去を描けばいいのに中途半端。

感想
原作とは別モノとお話を聞くし、チラ見しただけだけどエッセンスを切り取っても相当面白そうなので原作が見たい。
けど!面白かったよ!
jonajona

jonajona