ハレルヤ

イングランド・イズ・マイン モリッシー, はじまりの物語のハレルヤのレビュー・感想・評価

3.5
1980年代のイギリス音楽シーンを代表するバンドの1つ、ザ・スミス。今も大きな影響力を持つバンドのカリスマ的存在のボーカル、モリッシーのバンド結成までの姿を描いた実話ドラマ。

先日ザ・スミスが解散した時のファンを描いた「ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド」を鑑賞しましたが、あの作品はファンの姿を描いていたのに対し、本作はまさにバンドの誕生を捉えたもの。それもボーカルのモリッシーに焦点が当たった内容。

最初はドキュメンタリーなのかなと思っていましたが、しっかりとした劇映画。高校をドロップアウトして、色んなバンドのライブを見て、それを批評する日々を送るモリッシー。職場でも馴染めず、音楽が唯一の救い。しかし彼の批評文から才能を見抜いたリンダーの後押しから自身が音楽への道を踏み出していきます。

内気で自分がどう生きたらいいか分からないと弱音を吐く姿もあり、後にザ・スミスとして活躍する姿とは正反対のモリッシーの様子。あのカリスマでもこんな時期があったのかと改めて驚きました。

挫折や葛藤を経て、終盤でやっと皆がよく知るモリッシーらしくなっていく姿には思わず前のめりになります。そしてファンならラストシーンにもグッとくるのは間違いなし。

残念ながらモリッシー本人から許可を受けていない非公式的な作品なので、劇中ではザ・スミスの曲は1曲も流れません。でも映画の中ではジョニー・マーとの出会いや、モリッシーの職探しで食肉製造の仕事を勧められて、嫌な顔をする場面など、ファンだと思わず「おっ!」と感じる場面もちょくちょく盛り込まれています。

ドラマ映画として見ると普通の出来ですが、ザ・スミスのファンなら興味深く見れることは請け合いの作品だと思います。
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