カカポ

キンキーブーツのカカポのレビュー・感想・評価

キンキーブーツ(2005年製作の映画)
3.5
片田舎の倒産寸前の靴工場をうっかり継いでしまったチャーリーと、都会のドラァグクイーン・ローラが出会いキンキーブーツ(派手でピカピカのブーツ)工場として生まれ変わる!というシンプルなお話。  

いわゆるトランスジェンダーであるローラに対して「服装倒錯者」という表現がされたことには序盤からかなりギョッとしたけど、工場に勤める人たちの無邪気な偏見が、ローラという1人の友人を通してだんだんと変わっていく姿は見ながら「一緒に頑張ろうね…」と思わされるものがあった。

一方でお仕事ムービーとしては秀逸な出来で、ニーズと供給のバランスもといニッチな市場開拓ってほんと大事だな〜と思った。特にチャーリーが試しに…って最初の一本作り上げた時にローラが「神はこんなもの望んでない…こんなダサい靴を……」と絶望するところ爆笑してしまった。私も足デカ族なので分かるんだけど選択肢あんまりない時にかわいくないものしかないのってほんと最悪な気持ちになんのよね。ダサい靴なんて1秒も履きたくないんよ……

ただ、やはりローラというキャラがフィクションにありがちな「便利なゲイキャラの」扱いの枠を抜けきれてないな…という印象が強くてね…。2006年だからかなり奮闘してる方だとは思うが、描かれ方が周りの人間にとって都合良すぎるというか優しすぎるのよ。結局周りの人間の尻拭いしてくれるキャラじゃん…という印象だった。

という感じで正直2006年"当時"のクィアムービーだなという表現や演出が多々垣間見えはするんですが、それをおいても今作が実話に基づくものであり、かつ2000年代に製作公開され今日までリメイクを含め見られ続けているのは良いことだなと思う。
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